
がっつりレンコン堀り&葦植えプロジェクト.pdf
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「片葉の葦」「蓮」って何?
100年後の子どもたちに伝えるべき学びがここにある!
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毎年4月29日、昭和の日にあべの・昭和町界隈で
「昭和を再現!体験!再発見!」をテーマに
地元の若い人たちが立ち上げた町のお祭り「どっぷり昭和町」
そこに昨年、途絶えていた地元の鎮守さま・股が池明神の
春のお祭り=鎮花祭(ちんかさい・はなしずめのまつり)が
この日にあわせ復活された。
桜の花が散り、暖かくなるにつれ疫病などおこらぬよう祈る薬の祭りでもあり、
古い資料から大神神社(おおみわじんじゃ)の鎮花祭にならい
「百合根とすいかずら」をお供えする。
本年は蓮の花のお茶=蓮茶の献茶もあった。
お茶席は地元の高校生の琴の演奏で雅な風情を醸し出していた。
門真は古くからレンコンの産地で現在もとてもおいしいレンコンが食べられる。
しかしながら伝統農法「レンコンの沈み掘り」(潜って泥の中の蓮根を手で取る)の
できる池が、第二阪和高速道路の設置でなくなってしまった。
「どっぷり昭和町」の桃が池で途絶えてしまった
伝統農法「レンコンの沈み堀り」を再現しようと
、門真レンコン中西農園の中西さんの指導で池に入ったが、
あまりのヘドロ臭で中西さん以外、
誰も水には潜ることはできなかった。
水温はそれほど冷たくはなく、水に入ると
膝から下がそのまま泥の中に埋まる(泥の深さは30pほど)。
恐る恐る前に進むと深みにはまることもあったが、
泥の中で足にまとわりつく古い根をたどると
その下に固いものが足にあたる。
これがレンコンで、さらに足でさぐって周りの泥をのける。
根はつながっていて折れるとレンコンには
空気の穴があるので水面に浮いてくる。それがレンコンの収穫!
桃が池の夏は、朝早く行くと蓮の花で一面覆われ、美しい。
それが冬には枯れ、春の池は何もない状態に見えるが、
その下は蓮の根が鎮まり花を咲かせる準備のために
新しい根をつくり、古い根は腐っている。
その新しい根がレンコン(ハスの花の根・蓮根)で、
生活用水が流れこんでいるわけではないので池の底は
石や釣り糸などもあるが蓮の腐った葉、花、根
それらが泥となって沈殿しており、
ヘドロといえども、蓮のための腐葉土といってよいだろう。
一昨年秋、大阪市立自然史博物館の調査で蛇島に入った時よりも、
一般的なゴミが少ないのではないかと感じた。
ひととおりレンコンを掘ったあと、
水を浄化させるといわれる葦を竹のポットに
入れたものを池のふちに植樹した。
澱む桃が池の水の原因は地下鉄谷町線開通の影響で
水源が絶たれたことによる。
門真では「沈み掘り」のできる池を失ったが、
古くから雅楽の篳篥(ひちりき)のリードの
産地・高槻の「鵜殿のヨシ原」も新名神高速道路のルートになっており、
その保全が検討されている。
桃が池にも片方にしか葉がついていない「片葉の葦」の
自生がみつかっているが、上町台地の古来の姿を今に遺す
「片葉の葦の群生地」(国有地で売却予定地となっている)は
葦の群生だけでなく多くの植物や昆虫などが
生態系を育む生物多様性に満ちた天然のビオトープ。
都市にはめずらしい湧水地で葦が豊かに茂る原は
瑞々しい稲が育つという日本の稲作文化の源流を
目の当たりにすることができる。
さて一方、とれたレンコンの中から1つを取り、
大急ぎで走り出したのは「なにわ伝統野菜飴」で
有名な「豊下製菓」の豊下さん。
数十分後に出来立てアツアツのレンコン飴をもって再登場。
神さまにお供えされ、桃が池の再生と「片葉の葦の群生地」の保全を願った。
レンコン飴は、咳やのどにいいと聞く。
まさに薬のおまつり=鎮花祭のお供えものとして、
毎年引き継ぐべきものと思った。
Yumiko Tomizawa